会ってしまえばこちらのもので、片山が戻ってきたところで一緒に歩きましょうと話を切り出した。片山はもちろん快諾、長谷川が構わないと了承したら、美咲も決心が固まったようだ。行動する前はくよくよしているのに、一度腹を据えたらぶれないのは羨ましいところである。
これで計画通り、私と美咲、長谷川と片山の四人で花火大会を回ることになった。美咲の積極性に任せて、長谷川の隣に美咲が行けるように隊列を徐々に変形していく。しばらくして、美咲と長谷川が前へ、私と片山が後ろについていく形になった。私と片山二人で会話するようにしていたので、自然とこのような分かれ方になったわけだ。
長谷川にしてみれば、私と片山が知り合いなのは驚きだろう。長谷川のことだから、彼の情報網に引っかかりすでに解っている可能性もある。けれどもしそうでなかったら、この私たちの関係は、この計画を悟られる原因の一つになってしまうかもしれない。
そのことを片山に小声で伝えたら、
「さすがに考えすぎだろ」
一蹴されてしまった。
確かに計画まで詮索の手が伸びることはないだろうし、もしばれてもここまで来たらどうにでもなるし、ここらへんは片山の楽天的な考えを鵜呑みにすることにしよう。
ふと、片山の手を見ると、先ほど買ったたこ焼きが未開封だということに気付いた。
「たこ焼き冷めちゃうわね。どこか落ち着ける場所でも探さないといけないわね」
「一段落したらゆっくり食うことにするさ。そんときは分けてやるよ。他にも食いたいもんがあったらおごってやるぜ」
「あら、本当?」
「ああ。弁当を作ってくれたお礼だな。なんでもいいぜ」
お礼なんて、美味しいの一言だけで十分だったのに。でも、おごってくれるというなら甘えることにする。
「ありがとう。屋台の食べ物って、どうにも割高な感じがして自分で買うのためらっちゃうのよね」
「俺は祭りだから気にしなかったけど、よくよく考えてみたら結構ぼったくりっぽいよな。あんず飴とかどう考えても高すぎるだろ」
「私からすれば、小麦粉使った商品はかなりぼったくりね。あとチョコバナナなんて一本五十円以下でも利益が出そう」
こうして話はまた、今日の計画のことから脱線していく。
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